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Hさんに誘われた催眠術合宿の後・・・
僕は催眠術にはまっていました。
ある意味依存していたとも言えます。
少しでも時間があれば道行く人に試してみたり、
ファストフード店の中で高校生のカップルに試してみたり。
人生の中で一番催眠術をかけていた時期です。
多い時は1日に10人以上にもかけていました。
もちろん全員成功とはいきませんでしたが、
かければかけるほど、どんどん成功率は上がって行きました。
最終的にはほぼ100%の人に催眠術をかけることに成功しています。
この時はどんな人にも催眠をかけられると思っていたし、
実際にかけることができました。
そんな日々を送っていたある日・・・
僕は一人の女性に催眠術をかける機会がありました。
その女性はすごく入りやすかった。
もう誰がやっても成功するんじゃないか。
それくらい催眠術に入りやすい女性だったのです。
これは催眠術を使えるようになると分かりますが、
そういう人に会うとすごく楽しいのです。
本当に楽しい。
だから、僕はその子に依存してしまった。
かければかけただけ全てに反応してくれる。
だから、僕は何も考えずに彼女のリクエストに答えてしまいました。
それが後々、彼女を傷つけるとも考えないまま。
ある日のことです。
僕:いま会いたい人とかいます?あわせてあげますよ。
彼女:ん~、死んだおばあちゃんに会いたい。
僕:じゃあ、目を瞑ってください。目を開けると目の前には~~~。
そうして亡くなったおばあちゃんが見える催眠をかけてあげました。
もちろん催眠は成功しました。
目を開けた時、彼女の前には死んだはずのおばあちゃんがいました。
彼女が何かを空中に向けて話しています。
『もっと一緒に居たかったよ。』
そう言いながら涙を流しながら、
再開できたことを喜んでいたのです。
彼女は涙を流しながらちょっとだけ笑っていました。
でも僕にはとても切ない笑顔に見えました。
本当は2度と会えないはずの人に会えた喜び、
そしてこの場限りであるというちょっとした切なさ。
この2つが彼女の涙を流しながらの笑顔にはありました。
この光景を見た瞬間僕は後悔しました。
そして、できることなら叫びだしたくなりました。
違うんだ!
本当はただの幻想で・・・
僕が君を騙して見せているだけなんだ!
催眠術で見えたものは被験者の見たいものを術者が誘導して
見せているだけです。
だから、本当にそこにおばあちゃんがいるわけじゃない。
でも、彼女にとってはそこに本当に
おばあちゃんがいるのです。
どうしてももう一度だけでいいから会いたい。
僕がやったのはそんな思いを利用したただの詐欺です。
そんな罪悪感を持ちながらも、
最初に設定したタイムリミットの10分間、
ただただそこにいることしかできませんでした。
せめていま、彼女が見ているのは幻覚だとしても、
彼女の思いだけは無駄にならないように。
本当におばあちゃんまで届いてくれ!
そう祈ることくらいしかただの人間である僕には
することができませんでした。
そして、彼女とおばあちゃんとの別れのときがやってきます。
僕:もうそろそろ時間でおばあちゃんは本来の場所に
帰らないといけないんだ。
彼女:うん。
僕:最後に何か伝えたいこととかあったら伝えて。
彼女:うん。おばあちゃん・・・(この後は小さくて聞こえなかった)
彼女が一通り話して、うなずくのを見終わってから
僕:残念だけど時間が来てしまいました。
おばあちゃんは3つ数えると本来いるべき場所に帰ってしまいます。
1,2,3、ぱっちん!
そうして、彼女の前からおばあちゃんはいなくなりました。
神からの断罪を待つかのような時間を過ごしていた
僕を待っていたのは・・・
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